特集
南の島のコーヒー農園
沖永良部の恵みが育む、特別な一杯
― 自然と人の手が紡ぐ、小さなコーヒー農園の物語 ―
南の楽園、鹿児島県の離島・沖永良部島。透き通る海と豊かな自然に囲まれたこの島で、ゆっくりと時間をかけて育まれるコーヒーがあります。本特集では、島の恵みとそこにかかわる人々の想いが詰まったコーヒー農園の魅力をご紹介します。
ノアコーヒーの農園について
沖永良部島では、温暖な気候を生かしたコーヒー栽培が行われています。
コーヒー豆は本来、中南米やアフリカなど、赤道を中心とした北緯25度から南緯25度までの「コーヒーベルト」と呼ばれる地域で栽培される作物です。
しかし沖永良部島は、北緯27度・東経128度付近に位置しており、コーヒーベルトの最北限からもやや外れた地域にあります。
本来、コーヒー栽培には不利とされる環境条件ではありますが、沖永良部島には2008年に自社コーヒー農園を開園し、試行錯誤を重ねながら良質な国産コーヒーの栽培に成功した企業があります。
その名は「Noah Coffee(ノアコーヒー)」。
ノアコーヒーは、国産コーヒー栽培の産業化に成功した、パイオニア的存在です。
島内にある「ノアコーヒー 沖永良部島コーヒー農園」では、豊かな日照量や降水量、ミネラルを含んだ土壌など、島ならではの自然環境を生かした独自の栽培技術が確立されています。
冬場の寒さに注意を払いながら、11月〜2月頃のコーヒーチェリー収穫時期になると、農園スタッフが青々と茂った葉をかき分け、鈴なりに色づいた真っ赤な実をひとつひとつ丁寧に摘み取っていきます。
※コーヒーの収穫時期は、その年の気象条件によって変動します。降水量や日照時間は、開花から結実までの期間(通常約6〜8か月)に影響を与えるため、天候によって収穫時期が数週間〜数か月前後する場合があります。
こうして丹精込めて育てられたノアコーヒーのスペシャルティコーヒーは、爽やかでフルーティーな風味と、他にはない華やかな香りが特徴です。
沖永良部島・和泊町にある約3,000坪の農園では、およそ4,000本のアラビカ種コーヒーが栽培されています。
2008年に100本の苗木から始まったコーヒー栽培は、2020年には2,000本規模、2026年には4,000本へと成長し、現在では毎年1トンを超える安定したコーヒーチェリーの収穫量を誇っています。
世界的には、干ばつや豪雨などの異常気象による不作の影響で、コーヒー豆の価格高騰が続いています。そうしたなか、安心・安全な国産コーヒーへの注目と需要が高まっています。
沖永良部島のコーヒーは、無農薬で手間ひまをかけて栽培されていることに加え、収穫した果実を丸ごと焙煎する独自製法(特許取得)を採用している点が大きな特徴です。
この製法により、果実由来の豊かな風味や栄養素を生かした、これまでにない新しいコーヒーが生み出されています。
さらに、栽培から焙煎、商品開発、ブランディング、提供に至るまでを自社一貫体制で行い、徹底した品質管理がなされています。
国内最大級コーヒー農園、挑戦の軌跡
コーヒーの栽培実績は、国内ではまだ少ないのが現状です。
実際、国産コーヒー栽培の先駆けである沖縄県においても、地域の風土に適した栽培方法が定着し始めたのは2000年代以降のことでした。
沖永良部島でも、これまで本格的にコーヒー栽培へ取り組む人はいませんでした。
日照条件や施肥管理、塩害対策、台風対策、さらには収穫後の鮮度管理まで――。
コーヒー農園オーナー 山下 さつきさんは、長年農協で指導員を務めてきた父から受け継いだ農業経営や果樹栽培の知識を生かしながら、それらをコーヒー栽培へ応用するため、あらゆる工程で試行錯誤を重ねました。
コーヒーの木は、種まきや植え付けからおよそ3年で成木へと成長します。やがてジャスミンに似た白い花を咲かせ、その後、赤く色づく実「コーヒーチェリー」をつけ始めます。
2011年に初収穫を迎え、ようやく夢にまで見た「栽培〜収穫〜焙煎」までの全工程がつながりました。
しかし2012年には、恐れていた台風被害に見舞われます。4年もの歳月をかけて育てた木々は、塩害によって葉が緑色から茶褐色へと変色し、中にはすべての葉を落としてしまった木もありました。
それでも、「台風なんかに負けない」という強い意志と情熱、そして多くの方々の温かい支えに励まされながら、少しずつ復旧と栽培を続けた結果、2016年には100kg、2017年には150kg、2018年には300kg、2019年には500kgと、着実に生産量を伸ばし、そして2020年、ついに年間1トンの収穫を達成しました。
コーヒー農園オーナー「山下さつき」さん
沖永良部島出身。料理上手な母のもとで育ち、名古屋市の専門学校で栄養士資格を取得。卒業後は製薬会社などで勤務。
2008年、鹿児島県霧島市へJターンし、地産地消のカフェを開業。だが、コーヒーだけは輸入に頼っていた。「それなら、自分でつくる。」その想いから、故郷・沖永良部島で無農薬のコーヒー栽培に挑戦を始めた。
一杯のコーヒーができるまで
コーヒーは、種から育てられ、赤く熟したコーヒーチェリーとして実を結びます。収穫後は果肉を取り除く精選工程を経て、「生豆」へと加工されます。さらに、生豆に熱を加える焙煎によって、豊かな香りや風味が引き出され、ようやく私たちが楽しむ一杯のコーヒーへと仕上がります。
1. 栽培(収穫まで約3〜5年)
コーヒーの木は苗床で育てられたのち農園に定植されます。種をまいてから収穫できる状態(コーヒーチェリーが実るまで)になるには、およそ3年から5年の歳月が必要です。
2. 収穫
赤く熟したコーヒーチェリーのみを、ひとつひとつ丁寧に手摘みで収穫します。同じ木でも熟すタイミングがバラバラであるため一粒ずつ完熟した赤い実だけを選別することで、未熟豆や過熟豆が混ざるのを防ぎ、高品質で美味しいコーヒー豆に仕上がります。この「熟度」がコーヒーの味わいを左右する重要な要素となります。
3. 乾燥・脱穀
洗浄して、乾燥場で自然乾燥して、低温熟成機で乾燥してから、脱穀します。また、「果実の極」では一般的な果肉除去を行わず、新鮮なコーヒーの果実を丸ごと低温熟成乾燥させる特許技術を採用しています。この果肉ごと丸ごと乾燥・焙煎する製法により、甘みと旨味が最大限に引き出された最高峰のコーヒー豆が作られています。
4. 焙煎(ロースト)
生豆を専用の焙煎機に入れ、遠赤外線焙煎を行います。この工程で、豆に含まれる成分が化学反応を起こし、豆はおなじみの茶褐色へと変化します。同時に、コーヒー特有の香りや酸味、苦味が引き出されます。
5. 最高の一杯の完成
爽やかでフレッシュな酸味が特長で、豊かなコーヒー感が長く続く中、甘さがゆっくりとほどけるように消えていきます。そんな、余韻まで楽しめる最高の一杯に出会えます。
直営農園だからできるすごさの秘密
遠赤外線・少量焙煎
ノアコーヒーでは、少量焙煎にこだわり、必要な分だけを丁寧に焙煎しています。そのため、常に新鮮で焼きムラの少ない、高品質な自家焙煎コーヒー豆をお届けすることができます。 また、「遠赤外線焙煎」を採用しているため、コーヒー豆の芯までしっかりと熱を通すことができ、豆表面の割れもほとんどありません。ふっくらと焼き上がった豆は、コーヒー本来の豊かな風味を存分に味わっていただけます。
手間ひまを惜しまない品質管理
ノアコーヒーでは、ハンドピックによって一粒一粒丁寧に欠点豆を取り除いています。 コーヒー豆は大量生産される過程で、どれほど厳重に管理していても、わずかに「欠点豆」が混入してしまうことがあります。欠点豆にはさまざまな種類があり、たった一粒でもコーヒー全体の味わいに大きな影響を与える場合があります。 そのため、ノアコーヒーでは徹底したハンドピックを行い、欠点豆を可能な限り除去しています。これにより、雑味の少ない、すっきりとしたピュアな味わいを実現しています。スペシャルティコーヒーのみを使用
スペシャルティコーヒーとは、生産国における栽培管理・収穫・精製・選別・品質管理が適切に行われ、欠点豆の混入が極めて少ない高品質な生豆を指します。 さらに、適切な輸送・保管を経て、鮮度を損なうことなく焙煎され、抽出時には生産地ごとの個性豊かな風味特性がしっかりと表現されることが求められます。 ノアコーヒーでは、この基準を満たしたスペシャルティコーヒーのみを厳選して取り扱っています。焙煎日について
ノアコーヒーでは、小型の焙煎窯で少量ずつ丁寧に焙煎しているため、いつでも新鮮なコーヒー豆をご提供しています。 また、お客様に安心してご購入いただけるよう、焙煎日を明示しています。 一般的にコーヒー豆は、焙煎後7日前後で香味のピークを迎え、その後徐々に酸化が進んでいきます。美味しさと健康効果を十分に楽しんでいただく目安は、おおよそ焙煎後1か月以内とされています。 毎日のコーヒーを、健康と美容を支える豊かなひとときとしてお楽しみください。ノアコーヒー×鹿児島大学との共同研究
珈琲果実を丸ごと焙煎した新しいコンセプトの珈琲
ノアコーヒーでは、コーヒーの赤い果実の成分に着目し、国内で珈琲豆を収穫しているからこそできる珈琲果実を丸ごと焙煎する焙煎法を開発し特許を取得しました。(特許2019-108721)※トリゴネリンの成分を損なうことなく焙煎する焙煎手法に関する特許です。
これは、ノアコーヒーと鹿児島大学との共同研究により、遠赤外線を利用した独自の焙煎法を開発しました。 この焙煎法によって、ポリフェノールを豊富に含む沖永良部産の果実入りコーヒーは、トリゴネリンをはじめとする果皮由来の栄養素と、コーヒー豆本来の旨味を兼ね備えた、これまでにない新しいコンセプトのコーヒーとして製品化されました。
ノアコーヒーがつくるコーヒーは、体にやさしい成分がたっぷり含まれています。ここでは、その機能性成分を捨てることなく焙煎できる方法を確立するまでの道のりと鹿児島大学との共同研究についてご説明します。
①果実丸ごと焙煎法の確立へ
コーヒーを国内で作るということは、フレッシュな果実が丸ごと手に入るということ。
外国産コーヒーは長い時をかけて日本に運ばれてくるため、主に生豆のみしか手に入りません。そのコーヒー果実には生体調整機能と呼ばれる、健康に役立つ成分がたっぷり含まれています。栄養士の資格も持つオーナーは、成分をむだにすることなく、丸ごと焙煎する方法を確立したいという想いを持っていました。そこで、2年に渡る試行の実感により、外皮を焦がさずに、中心の豆までしっかり焙煎できる技法を確立させました。
※トリゴネリンは、脳の老化やアルツハイマー型認知症を予防する効果があると言われています。 またこのトリゴネリンは熱に弱く通常の珈琲焙煎法では、殆ど壊れてしまいます。
②鹿児島大学との共同研究および焙煎法と、トリゴネリン*含有量の特許について
鹿児島大学農学部の加治屋勝子講師に果実丸ごと焙煎法で抽出した国産コーヒーの分析を依頼し、コーヒー果実の機能性分析に関する共同研究を行いました。その結果、高い機能性成分が含まれていることを発見。鹿児島県産コーヒーに含まれるポリフェノール類(市販品の1.3倍程度)や、トリゴネリン量(通常焙煎の4~40倍程度)の機能性分析の成果によって、トリゴネリンを多く残存させた、体にやさしい健康的なコーヒーだということが分かりました。 ※血能を改善してくれる成分(●血管の伸び縮みを調節●血栓の防止)






















